創業者としてオリエンタルフーズという企業についてお聞かせください
創業者、それから創業者の次の代くらいまでは、様々な状況を踏まえて通常通り運営できる気はしますが、お客様との関係、それから世の中の状況を踏まえてそこから先の未来を目指して安定や拡大を図っていくとなると、働く人の意識や組織のあり方を変えていく必要があると感じています。
組織の中で働くのが40年として、そのうち20年は中間管理職という立場になっていくと思うのですが、その中で組織の中核や中枢を担う人材が、使命を背負い自らのビジョンを持って会社の経営に参画するという意識が強くないと世代交代は難しくなると思います。
世代交代をしていくということは、今まで組織に守られてきた立場の人間が今度は組織を守る側になる。なおかつ、守るだけではなく攻めていくんだという、アグレッシブなイメージを持つことが重要になると私は考えています。次世代を担ってく若いスタッフには、常に業界のパイオニアであって、先進的な設備、それから品質管理を含めたノウハウをお客様に提供するにはどういう風にして作り上げていくべきかということに、プライドや熱意・情熱をもって取り組んで欲しい。
そんな熱意を表現しやすいような職場環境を整備し、人材育成も含めた中での、会社組織のあり方を変革していくことが大きな責任であると感じています。
そしてそれらを維持するためには、常に明るく楽しくというのは難しいかもしれないですが、やらされ仕事というのは、その場は凌げて逃げられても長くは続かないですし、上手くはいきませんから、果たす責務があるとするなら、やはり楽しい方に自分のメンタルをもっていく、その強さが欲しいと思います。
まして、これから我々の業界は先細り過当競争が激しくなっていくというふうに言われていて、現時点でもマグロの消費量は減少傾向にあり、やはりお肉主体、養殖主体の食文化にシフトしていくのは致し方ない部分ではあります。
そんな状況の中で、業界に万全たる位置を守りながら、なおかつ企業として営利団体として利益をあげていく、そしてその利益の分配で従業員が夢見てる世界を成し遂げていくためにはもっともっと強くならなければいけない。
ただ「強くなる」=「立派な…」ではなく、面白い会社、楽しい会社にしていかないといけないんじゃないか。そうでなければ、人は集まってくれないと考えています。
海外で日本食が認められ、日本食文化の台頭や消費の増大を見込んだグローバルな展開に対するビジョンはありますか?
例えば対EUや、対アジアもそうですし、もっというとアフリカ諸国もそうでしょうけど、どこに行っても日本食はあると思います。
ただ、それが本当の本格的な日本食かどうか、というのはまちまちなんですね。そう言った意味で日本食の拡散っていうのは、今まで以上に大きなマーケットに対するアプローチが可能だと思います。そこに行って自分たちのノウハウをしっかり受け伝えて、お客様の力になれるかどうかは、自分達の懐の深さ次第だと思います。
例えば総合商社が地球規模で商売をする場合、自分の身をそこにおいてないと現地の国との仕事ってできないですよね。
私たちはメーカーなので作ったものを売ります、と自分たちの営業が行って売ってくる分にはいくらでもできます。
弊社は台湾の桜エビを国内でも売りますし、台湾の中継では支社を構えており、台湾では大きな強みというものは感じておりますが、ではこれが例えばヨーロッパで仮に展開をしていく場合、弊社でそれだけアグレッシブに動いて自分の足で、自分の目で、自分の言葉で外国の方々と商売ができる人材が何名いるか、ということに行きついてしまいます。
それを、やりたければやりなさいと言ってもなかなか手が出ないし、遠方でゼロベースで開拓を行うことは難しい。だからそういう環境はあくまでも会社の経営判断として機会をとにかく与えるという事です。
オリエンタルフーズが今後担うべき課題や目標などのビジョンを教えてください
まず、どういう位置づけでこのオリエンタルフーズが成り立っていくべきかということです。
国際認証という分野では、業界で一応トップの位置に立たせて頂いており、大手のお仕事も頂いております。
弊社の重要な要素である、品質や衛生管理の分野には、長年の経験やデータが蓄積されております。この分野では我々がニッチトップな部分でもやっていけるという点は、譲るつもりもないですし、それらを度外視しては生きていく道がないとも思っております。
しかしながら、業界情報量を含めてまわりの協力会社、それから社内の人材に資本投下をしながら、やはり強固なもの作り上げていく必要はまだまだあると感じます。
それだけでいいかというと、それだけではなく、相手がされたことに対して、ある意味驚愕や突発的に喜びを感じるような、“まさかそんなところまで”といった痒い所に手が届くような「日本人のおもてなし精神」を感じられる、先回りをした自分たちの自己表現がしたいと常々思っております。
お客様のために何ができるか、お客様の喜びが私どもの喜びであるという精神は、オリエンタルフーズの経営において一番マストなところで、ここだけは忘れてはいけません。
尚且つ、その二つの大きな前提条件を守っていれば、もっともっと人が集まってくれる会社へと成長していくことができると思います。
お客様、社内のスタッフ、そして例えば異業種であっても、様々なところでコラボレーションをしながら色々な人の力を借りて、色々な人の役に立ちたいという意味では、なすべきことがたくさんあると思っています。
私としては大きさを目指すのではなく、熱く太い会社になっていきたいですね。
社長からスタッフの方へメッセージをお願いします
とにかく仕事に本気で向き合ってもらいたいと思っています。
本気になって仕事をしているスタッフって、とにかくよく笑います。
失敗しても笑える。成功したらものすごい笑顔ですよね。
例えば今年開催された東京オリンピックでも、ヒーローになって脚光を浴びている人はそれで満足せず今度は追われる立場として励み、逆に負けて悲しんでいる人はもっと次が次がと考えると思うんですよ。
情熱を持って本気になって取り組み、常に止まらずに歩き続けることが非常に重要だと思います。
本気になれば、かいた汗もさわやかです。
本気になれば、悲しい時も周りは必ず助けてくれます。それは、社内的にも社会的にも。
本気になってやれば、必ずそこから自分のプライドだとか誇りが生まれてきます。
それを心に秘めていればどんな問題に当たっても必ず簡単には挫けない、と私は思っています。
少なくともここだけはぜったい譲らない、という自らの職務や仕事に対する本気度が高い人間が、この会社には集うような雰囲気を作っていきたいですね。
この会社はいつでも本気で仕事をしています、妥協は許しません、ということです。